こうちミュージアムネットワーク研修会「写真資料における保存と展示」
(1)日時 平成23年3月14日(月) 15:30~17:00
(2)場所 山内会館2階 鳳凰の間(高知県高知市鷹匠町2-4-26)
(3)講師 三井圭司氏(東京都写真美術館 学芸員)

(4)概要
 平成22年度の研修会第3弾は、「写真資料における保存と展示」と題し、東京都写真美術館の学芸員三井圭司氏をお招きし開催しました。三井氏は、19世紀写真史や写真の古典技法が主な専門で、館では映像ワークショップなど教育普及事業も担当しておられます。
 研修会には35名が参加しましたが、こうちミュージアムネットワーク館員のほか、市町村の教育委員会からの参加も目立ちました。近現代の写真資料の保存が、単に文化施設だけでなく、自治体においても切実な問題であることを改めて感じました。
 内容は、各写真の構造と歴史についてと、東京都写真美術館の収蔵と展示についての2つです。まず前者については、例えばコロディオン湿板方式のアンブロタイプの場合は、摩擦には弱いが、実は耐光性などには強く、写真の中では強固な部類に入ること、一方で同じガラスを指示体とするゼラチン乾板方式の場合は、カビなどの影響を受けやすく、温湿度の急激な変化によって破損が起こりやすいことなど、各写真の特徴や取扱いの注意点を1つずつ丁寧に解説していただきました。
また後者については、東京都写真美術館の収蔵庫の環境やマット紙を用いた収蔵方法、また展示の際の照度設定の基準や工夫をスライドで具体的に解説していただきました。
 写真資料は、その材質や構造が複雑であるため、つい保存や展示など難しくとらえがちです。しかし、研修をとおして各写真の構造に応じた対処法などを分かりやすくお話いただいたことで、私たちが日頃から抱えている課題や疑問を解決するヒントになったのではないかと思います。

(土佐山内家宝物資料館 田井東)